2008年12月26日金曜日

中国の宇宙育種、トマト【太空番茄十号】

トマト【太空番茄十号】
 中国は1987年から宇宙生命科学実験が17回実施されている、神舟宇宙船や人工衛星を使用を主とし、衛星の宇宙実験施設で種子植物繁殖することです。 中国の"宇宙育種"は、世界をリードするレベルにある。

 宇宙育種のさまざまな要因には、弱い磁場の空間、宇宙船の空間において宇宙線や微小重力で種子作物の遺伝子に、有益な変化を実現することです。
 トマトに限らず、宇宙で種子を育成したものを宇宙育種と呼んでいます。宇宙育種には、宇宙特有の超真空・低重力などの環境により、一種の突然変異が引き起こされます。その結果、地上で育てられたものよりも大きく、品質、栄養価にも優れたものになるのです。さらに寒さや虫害、ウイルスに対する抵抗力も強くなっていることが研究により明らかになっています。問題になっている遺伝子操作とは異なり、人間に対する悪影響はないとのこと。地球地面での繁殖サイクルより短縮と効率よく改善するため、育種では地球で新品種の繁殖地を作るよりも効率がよい。

 地球に戻った種子は選抜過程は少なくとも3-5年の安定性試験栽培のスクリーニング、多くの選択経験豊富な専門家が、試験栽培、繁殖試験を経て、有望品種の系統選抜の、さらに安定化に少なくとも2 〜 3年試験栽培し、中国の国や地方、閣僚レベルの委員会で承認した品種、中国の宇宙育種では、これまで20以上の作物の新品種が発表されています。

 トマトの新品種の育種のために、中国の宇宙育種のトマト【太空番茄十号】を親にして、新品種の育種を進めています。
【太空番茄十号】
特徴:早熟、多産、風味良し、保存・運送に優れ、狭いところでも植えることができ、耐寒性に優れ、カロチンが普通のトマトの3倍、ニンジンの10倍である。1ムー当たり6,000キロ以上の生産が可能である。栄養値がとても高く、美容・ダイエットに効果がある。生育旺盛、 果重350グラム、非常に高い収量、果形ほぼラウンド、ピンク、甘酸っぱい味がおいしい、厚肉、果物の実割れ変形少し、葉のカビ、細菌、青枯れなどのウイルス病に高抵抗。 高低温度と低光と露地で栽培することができます。

【NASAの宇宙トマト、平塚農業高校で栽培試験】
“宇宙トマトの研究” が県立平塚農業高等学校園芸科学研究班によって行われている。  1984年、スペースシャトル・チャレンジャー号に積まれて地球を飛び立ち、宇宙空間に6年間滞在したトマトの種子2袋(各袋40粒程度)と、比較のために地球上で同期間保存されていた種子1袋。これらが、NASA(アメリカ国立航空宇宙局)での20年近い保管を経て、昨年JAXA(宇宙航空研究開発機構)を通じ同校へ。
しかし、このトマトはケチャップなどの加工用ですから、味は・・・です。
http://blogs.yomiuri.co.jp/shashun/2008/07/post_61d5.html
http://surc.isas.jaxa.jp/Space_Agriculture/Archive/SpaceAgri_38.html#Anchor-35882

2008年12月18日木曜日

NPOが目指すこと、未来に残す日本の宝。

  安芸市の山村に残されている、百年の古木柚子
安芸市の山奥に残されている、百年の実生柚子は高知県だけではなく日本の宝です。世界に約三千本しかないといわれています、今ヨーロッパからも実生の柚子の注文が来ています。しかし毎年、高齢化による過疎で放棄地が増えています。
 我々NPOはその調査と保護活動に2年前から取り組みを始めました。

下に添付している資料は、NPO地域支援農業サロンが昨年事業計画として、国土交通省の支援事業に応募の内容です。

しかしなぜか地元の安芸市の推薦が得られず・・・、応募は取り下げましたが調査と事業は継続して進めていて。実生柚子の古木の放棄地を調査して、圃場をまとめて事業としての農業法人や企業、新規就農に引き継いでいくことを進めています。
 高知県の産業振興計画の委員長受田高知大副学長や知事のブレーンなどにもその内容を相談して進めていますし、具体的にも新規就農をスタートして受け入れの案内をしています。
 11日の県議会での知事答弁で、【不況による失業者を農業、魚業など一次産業に受け入れるために、農地と空き家、技術習得をセットにした迎え入れる仕組みを検討している・・・】との内容はまさに我々の進めていることと同じです。

しかし、この百年に一度の大不況で日本の社会や産業構造が変わろうとしているとき、日本人には危機意識が薄いです。今私達の身近にある資源を残す活動こそ、日本が新たに力を取り戻すこととなるのです。

【国土交通省に提出した応募資料】
 高知県安芸市入河内集落、48世帯、人口約100人高知県安芸市入河内地区において、かつての基幹産業であった林業の衰退により人口流失が著しく、高齢化が進行したことにより、ピーク時に比べて人口が半減し、地区内にある唯一の小学校の在校生は4人と廃校寸前の状態であり、典型的な中山間の限界集落で、コミュニティの活力低下が大きな課題となっております。
 百年以上の【実生柚子】の木は世界に2500本ほどしかないといわれていますが、そのほとんどが安芸市周辺のこの地区にあります。また江戸時代以前から入河内地区伝わっています【入河内大根】が残っております。しかし集落の高齢化と過疎のために管理ができなくなりつつある【実生柚子】の放棄地の保護、【入河内大根】の保護、伝統野菜【入河内大根】や【実生柚子】を特産品として売り出し、祖先が代々守ってきた川や山や中山間の農地、実生柚子や入河内大根などの伝統的な農産物を守り伝えていく活動を通じて、地域に対しての誇り、内外の人材との交流、定住人口の拡大を図り、地域に愛着を持つ者が新たな担い手になることを目指すようにいたします。
① 地域支援農業サロンが中心となって。市や県、JAなど連携して伝統野菜【入河内大根】や【実生柚子】の「種子」の選別や保存、入河内地区の団体との料理レシピ作り、【入河内大根】や【実生柚子】、それらを利用したものを特産品として売り出しをする運営システムの構築を図るようにいたします。
② 入河内地区を訪れる人が短期間の滞在で効率よく、かつ、健康的に入河内地区の魅力を体験でき
ように、一定の集客力のある農家民宿(浅春(せんしゅん))と隣の集落の温泉施設(こまどり)を核に地域の特色ある地域資源をめぐる森林浴散策コース作りをおこないます。
③ 地域居住や定住希望者の受け入れを促進するために、入河内地区の実態調査、空き家活用協力者の確保、交流体験事業の試行等により、古民家の有効利用を図ってまいります。
④ 安芸市、JA安芸と連携して入河内大根や実生柚子、お茶の収穫祭等のイベント、販売促進のイベントの企画等を行ないます。
 本事業は、入河内地区を活動拠点とする地域支援農業サロンが、行政のほか、東京農業大学農学部、人間植物関係研究室をはじめ入河内地区以外のさまざまの主体と連携・協働をしつつ、地域資源の積極的な活用により、交流・定住人口の拡大を図り、地域の文化や誇りを維持存続させようとする点で、地域の自立に貢献できる活動である。伝統野菜【入河内大根】や【実生柚子】の「種子」の選別や保存活動等の運営については、都市と山村との交流等の実施を通じて入河内地区サポーターの拡大等により、持続可能な活動にしてまいります。
 また、本事業は、人口減少や高齢化により文化・伝統の維持存続を図ることが困難な地域が全国に多く存在すると考えられることから、その結果はこうした地域の今後の取り組みにも参考となりうるものであるため、モデル性があります。
(住民との関係)
・地域支援農業サロンの活動を通じて、入河内地区のグループ(実生柚子の保存と活用)、入河内大根を守る会と日頃から住民との意見交換等を行っていますが、今後は、地域資源の活用や空き家の調査などで連携・協働していく予定です。
(行政との関係)
・安芸市の広報活動と連携した情報発信をしていく予定です。
(東京農業大学農学部人間植物関係研究室との関係)
・ 東京農業大学農学部の教員3名、学生25名と入河内地区住民の交流会を平成19年12月に入河内公民館にておこないました、継続して東京農業大学農学部の学生の山村農業のインターシップを平成20年10月に予定、活動全体を通じて、企画面でサポートしていただきます。
(東京・老舗果物専門店グループ「中央班」との関係)
・東京都心部の老舗の果物専門店のグループで「中央班(会長・大島博千疋屋総本店代表取締役)」
の7社、11名(千疋屋総本店、京橋千疋屋、㈱キヨタ、果山、フルーツいまの、フルーツあすなろや、京急ストアー)の代表取締役と入河内地区住民の交流会を、平成20年5月に入河内公民館にておこないました、継続して企画面でサポートしていただく予定です。
(農産物直販所との関係)
・入河内地区や安芸市の特産品を利用して開発した新製品の販売や、森林浴散策コースの休憩所や農家レストランの設置に協力を求めていく予定であります。
1. 本事業の実施により、交流・定住人口が増加し、それに伴って伝統野菜【入河内大根】や【実生柚子】の保護活動や販売の担い手やサポーターも増加することが期待されます。事業終了以降についても、伝統野菜【入河内大根】や【実生柚子】の保護活動や販売や、伝統的な農産物を守り伝えていく活動を通じて、地域に対しての誇り、内外の人材との交流、定住人口の拡大を図り、地域に愛着を持つ者が新たな担い手になることのコミュニティ活動を継続させるように努めてまいります。
安芸市入河内地区の山を越えた隣には、村おこしの成功例として全国的に有名な【馬路村】、高知県のブランドの鳥として有名な【土佐ジロー】の畑山地区、上流には伊尾木川ダム、下流の安芸市街地には阪神タイガースがキャンプを行う野球場、岩崎弥太郎の生家や観光名所の野良時計などがあります。
しかしすべて点として存在しております、これを線としてつないで多様な主体との連携をさらに強化して、いっそうの情報発信に努めてまいります。
 安芸市内から伊与喜川沿いに入河内地区を通り、国道195号線(土佐中街道)につながっている道路は、国道195号線(土佐中街道)から高知県東部につながる唯一の道路ですが、本事業の実施により、江戸時代から利用されてきた道路を守り、新たな利用へと努めてまいります。
また、高知市から安芸市、室戸市へとつながる国道55号(土佐東街道)は一つしかなく、また海岸を通っているので、台風や土砂崩れ、事故が起れば渋滞や通行止めとなります。
50年以内に必ず来るといわれている、南海大地震のときのためなど、今後地域支援のための連携と情報発信に国道55号(土佐東街道)の調査に努めてまいります。

2008年12月15日月曜日

農家民宿、浅春(せんしゅん)テレビ全国放送で紹介される

 絶景・にほん列島小さな鉄道めぐり旅で、NPOのメンバー有澤さんの農家民宿【浅春】が紹介されました。タレントの森本レオさんが入河内を訪問、浅春に泊まって入河内の自然を紹介しています。
 山奥の小さな村ですが、日本の残したい風景がそこにはあります。そして土佐の山村の素朴な生活があります。
農家民宿 浅春せんしゅん-民宿ガイド-
 定員:1日1組5名まで 宿泊料:6500円/人(1泊2食付き)
特徴:○うちのばーちゃん(90歳近い)が田畑を回り育てた米、茶、柚子、野菜、鶏の卵などを活かした料理や、地元の食材にこだわった家庭料理を味わっていただいています。
○隣の集落には「温泉こまどり」があります。田舎の素朴な温泉で、疲れを癒していただけます。(11:00~18:00営業、火曜日休み)
○台所には、冷蔵庫や調理器具、食器も揃えています。地元の野菜を使って自炊もできます。 お願い:歯ブラシ、タオルなどの洗面用具や、ねまきはご持参ください。
※駐車場もあります。
〒784-0272 高知県安芸市入河内にゅうがうち737
TEL・FAX:0887-36-2107
受付:電話は8:00~21:00   
FAX・E-mailは24時間対応

土佐の伝統野菜、入河内大根、お大師ナス、焼畑のカブ




 入河内大根、大きさはまだ小さい方でこれの2倍(4キロ~5キロ)になります。 (NPO地域支援農業サロン中屋会長は入河内大根保存会会長でもあります)
入河内大根(土佐の古文書の記録に乗っているのは五百年前)
高知県安芸市の山あいの入河内地区で栽培されていた伝統野菜「入河内大根」、サラダなどの生で食べて美味しく、煮も物にしたときに煮崩れしない、加工にも向くおいしい大根。葉っぱも柔らかくておいしいです。
五百年以上前から高知の山村で守られてきた大根、お正月に高知は鯨との雑煮を作りますが、
全国の伝統大根の中ではベストの味の大根。
お大師ナス(江戸時代からのお大師ナスや弘法さんのナスと言われていたらしい) (全国一のナスの産地、安芸市で試験栽培、11月の霜が降りるまで露地栽培、無農薬で栽培、通常のナス(日本で7割も生産されている品種、千両ナス)のように硬くならず、豊産制で焼きナスや天ぷら、煮付けやサラダで食べると美味しい。寒さと病気に強い。)
 弘法大師が伝えたという言い伝えがありますが、その由来、伝来はさだかではないが、江戸時代には高知で栽培されていたようです。
 品種の特性(J.S.T見解)として、宮崎県の伝統野菜【佐土原ナス】の系統で、高知でその土地にあったものとして、長い年月で選抜されたもと思います。
佐土原ナスは熊本長なす、松山長なす、長野のていざナス、家康のお国替えで新潟に伝わり、【新潟焼き茄子】となってその美味しさから全国に種が伝わり、【焼き茄子】という言葉の語源となった茄子。
焼畑で作られていましたカブです。
 焼畑のカブ、高知県の山村では、日本で最後まで焼畑農業がおこなわれていました。
カブは植えてから早く収穫できますし、収穫しても長く持ちます。そのために長いあいだ伝統野菜として、焼畑で作られていました。甘くて美味しいカブです。
 焼畑がなくなっても細々と山村で作られていましたがもうほとんど無くなりつつあります。
病害虫に強く、花のにおいが強く受精が強い。

2008年12月8日月曜日

有機農業を推進するには、国の保護と補助金行政が必要です。

  資料:農耕と園芸
有機農業が生き残れるか、 それには国や県、市がいろいろな支援をすることが必要です、有機農業で生産される農産物の販売だけでは、JAS有機の認証を受けても、消費者の意識からして、農家は食べていけません。
 EU、スイスの農業保護行政を手本にするべきです。
 議員立法で提出された有機農業推進法は,参議院で2006年12月6日に承認の後,2006年12月8日に衆議院で承認されて成立した。
●有機農業推進法の概要
 有機農業推進法では,「有機農業」を,「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として,農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業をいう。」と定義している。そして,有機農業を推進する際には,
 (a)農業者が容易に有機農業に従事できるようにすること
 (b)農業者やその他の者が有機農産物の生産・流通・販売に取り組めるようにすること,消費者が有機農産物を容易に入手できるようにすること
 (c)有機農業者,有機農産物の流通・販売者と消費者との連携を図ること
 (d)農業者やその他の関係者の自主性を尊重しつつ推進すること
を基本理念としている。
 有機農業を推進するために,まず農林水産大臣が,
(1)有機農業の推進に関する基本的な事項,
(2)有機農業の推進及び普及の目標に関する事項,
(3)有機農業の推進に関する施策に関する事項,
(4)その他有機農業の推進に関し必要な事項からなる「有機農業の推進に関する基本的な方針」(基本方針)を定める。
そして,都道府県が基本方針に則して「有機農業の推進に関する施策についての計画」(推進計画)を定めるように努める。
 国および地方公共団体(都道府県,市町村)は,
 (a)有機農業者や有機農業を行おうとする者を支援するために,有機農業に関する技術の研究開発とその成果の普及
 (b)消費者に対する有機農業に関する知識の普及や啓発のための広報活動
 (c)有機農業者と消費者の相互理解を増進するための有機農業者と消費者との交流促進
 (d)有機農業の推進に必要な調査
 (e)有機農業の推進のための活動の支援に必要な施策
を行う。また,国は地方公共団体が行う有機農業の推進に関する施策について必要な指導,助言,その他の援助を行うことができる。
●今後の課題
 本法は2006年12月5日,12時8分からの参議院農林水産委員会で趣旨説明が行われ,直ちに参議院本会議に提出することが承認されたが,この間たった8分間しか要さなかった。法案の内容についての質疑のやりとりがなかったので不明な点があるが,それを含めて下記の課題があろう。
 (1)「準有機農業」を含めるのか否か
 本法の有機農業の定義では,「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)に準拠した有機農産物を生産するものだけを有機農業とは明記していない。このため,日本農林規格に準拠していないが,化学肥料,化学合成農薬,遺伝子組換え体を利用せずに,環境への負荷をできるだけ少なくして農産物を生産している農業(仮に準有機農業と呼ぼう)を有機農業として本法の対象に含めるか否かが問題になろう。現在でも,生産そのものはJAS法の生産基準に準拠しているものの,JAS法が要求している検査機関による認証制度は,生産者を常に疑いの目で眺めて,生産者と消費者の間にできている信頼関係を否定するものであり,しかも多額の経費を要求するのに納得できないとして,JAS認証を受けない人達がいる(法的には有機農産物として販売できない)。こうした準有機農業の人達をどう扱うのかが問題になろう。つまり,この有機農業推進法がJAS法に準拠して有機認証を受けた有機農業しか認めずに,「準有機農業」を対象外とするのか,それとも,「準有機農業」が有機農業の認証を受けやすくするように,検査料を補助する仕組みを作るかなどが課題となろう。
 (2)環境負荷軽減の担保
 農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を実践することが定義に記されているが,それを担保する仕組みを作るか否かも課題である。例えば,現在でも化学肥料を使わずに,有機質肥料や堆肥を過剰に施用して,硝酸濃度の高い野菜を生産し,環境に硝酸やリン酸を放出している集約的な有機農業も存在する。また,冬期を裸地にして風食や余剰な硝酸の地下浸透を助長したり,夏期や秋期の豪雨時に水食によって土壌流亡を起こしたりしているケースもある。環境負荷の防止について具体的な条件を設けるかも大切なポイントになろう。
 (3)環境ストックの価値向上の評価
 健全な有機農業は農業による環境へのマイナスインパクトを軽減するだけでなく,農地の持つ公益的機能(国土保全機能,生物多様性の保全,景観の維持・向上など)の向上に貢献しうる。こうしたプラスの効果を本法は評価していないのをどうするのか,それを入れるなら,どう担保させるのかの議論が残されよう。
 (4)支援の具体的な内容
 EUは有機生産者に対して転換期間に支援金を支給しているが,日本では国レベルでは支給していない。この点をどうするのかなど,国や地方自治体の行う各種の支援の具体的内容が大きなポイントになろう。


2008年12月7日日曜日

WTO農産物重要品目 (農業自由化交渉は?、米はどうなるのか?)

 世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉、ドーハラウンドの閣僚級会合が7月末に決裂していたが。
(時事通信) 2008年12月7日(日)10:30
 【ジュネーブ6日時事】世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の農業、鉱工業両分野の交渉議長は6日、関税引き下げなど自由化ルールを盛り込んだ市場開放の大枠(モダリティー)合意案を公表した。農業分野は、関税引き下げ幅を例外的に低く抑えられる「重要品目」の対象数を、全品目の最大6%とするなど7月の閣僚会合での議論の流れをおおむね踏襲。最大8%の品目確保を目指す日本にとって厳しい内容となった。
日本の重要品目⇒米、小麦、乳製品、砂糖、サトウキビ、
 米の重要品目入りの大義名分は、WTOが重要品目に対して認める例外的に高い関税率を維持することによって、海外産の廉価なコメの流入を防ぐということである。一方、減反のそれは、米の価格を高く維持することで、生産者の生活の安定を図ることだ。消費者負担の上に成り立つこの防御一辺倒の姿勢こそ、日本の農政の特徴である。
 しかし、今やその大義名分はいずれも成り立たない。
 米の60キログラム当たり2万円という関税は、今の国内米価1万4000円より高いので、輸入米価格が0円でも輸入されない。また、海外産の安い米と言うが、それは昔の話だ。日本米に品質的に近い中国産米の日本への輸入価格は1万円にまで上昇している。いまや4000円の関税さえあれば十分だ。要するに、国内米の保護のために重要品目入りが不可欠というロジックはすでに正しくないのだ。
 次に、生産調整だが、減反面積が110万ヘクタールとすでに国内の水田全体の4割超に達しているのに、米価の下落は続いている。生産調整には麦や大豆などに転作させる目的で補助金が支払われているが、国家の財政事情などから、年々減額されており、生産者からみれば、この“生産カルテル”への参加メリットは減退している。
 政府が昨年生産調整を農協に任せたことから減反面積目標が達成できなくなり米価が低落したため、今年度は農林水産省と農協ほかの関係団体が連判状まで交わして10万ヘクタールの目標上乗せと官民上げての取組みの強化をおこなったが、上乗せ分の7割しか達成できていない。
ある農業研究所の試算では、過度の関税保護と生産調整を撤廃すれば、価格は60キログラム当たり約9500円に低下し、需給は現在の900万トンから1000万トン以上に拡大する。
食管制度以来、米価引き下げに対しては農業団体から農業依存度の高い主業農家が困るという反論がなされてきたが、そうであるならば、現在の1万4000円と9500円の差の8割程度を、主業農家に補償すればよい。
 流通量700万トンのうち主業農家のシェアは4割であるから、約1600億円の財政負担ですむ。これは、生産カルテルに参加させるために農家に支払っている補助金と同額だ。
 ちなみに、価格を引き下げて財政による直接支払で補償するというこのやり方は、ウルグアイ・ラウンドで過剰農産物処理のために必要だった輸出補助金の削減についてアメリカに譲歩するためにEUがとった戦略でもある。高い価格を下げれば過剰が少なくなるからだ。
 土日しか農業に従事しない兼業農家も、主業農家に農地を貸せば現在の10万円程度の農業所得を上回る地代収入を得ることができる。主業農家の規模が拡大してコストが下がれば、主業農家の所得は上昇するし、兼業農家が受け取る地代も増えるだろう。
 メリットはまだある。価格が低下すれば、国際市場での競争力が増すわけで、輸出という攻めの農業が可能になる。日本の人口は減少するが、世界の人口は増加する。しかもアジアには所得増加にも裏打ちされた拡大する市場がある。
日本を代表する自動車や電機産業は、海外に目を向けることで発展してきた。農業も防御一辺倒から国際市場の開拓に転じるのだ。これが自国の食糧安保だけでなく、食糧難時代の国際貢献の道でもある。
 国内農業の疲弊度合いを考えると、今がぎりぎりのチャンスだ。日本はこの与えられた最後のチャンスを逃してはならない。

2008年12月6日土曜日

有機農産物が一般社会に認知されていくに必要なことは。

   天敵利用のピーマン栽培、高知県芸西村
 先輩の一之瀬さんがムソーの後藤さんと来高、ショウガやピーマン、ナス、などを案内をする。国産野菜や有機野菜の人気が急上昇。小売りの現場では生産者の顔が見える地元野菜が脚光を浴び、野菜にこだわる消費者は有機野菜の会員制宅配を利用するなど国産野菜への注目が高まっている。

 一之瀬さんは、大地やラデッシュ、いずみ、ムソーなどで会社のトップとして現在の有機の農産物や食品の時代をつくった一人です(現在は顧問)。
遅れている高知の有機農産物の助言と販売指導を仰ぐために、先輩に来ていただいたのです。

 流通大手のイオンが運営する大阪市内のジャスコでは、農薬の使用回数や化学肥料の使用量が府の標準の半分以下で生産された野菜や果物「大阪エコ農産物」(府認証)の取り扱いに力を入れたり、合成保存料を使わないなどの独自基準に基づいた産地直送のプライベートブランド「グリーンアイ」などを柱に品ぞろえを行っている。
 しかし、同じ国産野菜に関しても「消費者が選ぶのは高くて品質の良い商品か、安い商品のどちらかになってきた。中途半端な価格の商品が一番売れない」と、消費者の二極化が顕著になってきたという。
 こうした食への安全や健康に関心が高まる中、一部で人気を集めているのが有機野菜だ。種まき、または植え付け前2年以上、禁止された農薬や化学肥料を使用していない田畑で栽培するなどの厳しい基準をクリアした(農水省の定める)有機JAS認証を得た野菜のことで、特に中国冷凍ギョーザ事件を受けて都市部では需要が一気に増加した。
 今、野菜をめぐる消費者ニーズはこれまでの生産側の課題を打ち消す追い風になってきている。しかしまだまだ価格の問題が大きい、今後有機野菜が一般的になるためには、生産コストを安く安定した生産技術が必要です。